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ラスクを用いた音場調整例 更新日 2007/06/21
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ホール(座席数157)において、聴感上観測されるフラッターエコーの対策にラスクを用いました。

片方の側面にラスクを設置することでフラッターエコーは解消され、響きの良い残響感になりました。

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フラッターエコー対策、残響時間の調整は、他に
「伊丹AIホール」「大津SPホール」「大阪フィルハーモニー会館」等があります。


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フラッターエコーとは、音を反射しやすい壁などが平行な2平面を構成すると、その中にある音源から発した音波は両壁面間で何度も反射を繰り返し、歯切れの悪い残響感を感ずるようになる。これをフラッターエコーという。
一般に屋内で観測されるフラッターエコーは屋外のエコー(山彦)とは異なり、反射物体間の距離が近い ためエコー間隔が短く、ほとんど連続して聞こえるのが普通であるから、音の輪郭がはっきりせず、 時には濁った感じの音質となる。
アマダホールの側壁のうちフラッターエコーが問題となるのところは、片方が吸音スリットつき壁面で、 他方が大理石壁面であり、両壁面が平行となっているホール中央部である。ホール中央の座席にて 単発音(拍手)を発すると聴感上明らかにエコーがあることが認められ、対策の必要性が確認された。


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大理石壁面に対抗する木製壁面(約10m2)を撤去し、 下地のコンクリート壁面に沿ってラスク( 鋳鉄ラスク B−6030[600×300×10mm])を34枚(約6m2)配置する。 ラスクの背後空隙(ラスクとコンクリート壁の距離)は6cmとする。ラスクの室内側はホールの格調高い雰 囲気を損なわぬようクロスを張り、木格子仕上げとした。平面等詳細図を第1図に示す。

測定は、音源として競技用ピストル(紙雷管)を用い、マイクロホンを第2図のように両壁面間の中央に立て、 壁面改良工事の施工前と施工後の残響音を録音する。後日テープ再生により音圧レベル減衰曲線を 記録させることにより、ラスクによる壁面改良工事の結果を比較検討する。
なお、参考のため音源の周波数特性を第3図に示す。

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壁面改良工事施工前および施工後の音圧レベル減衰曲線をそれぞれ第4図および第5図に示す。両面の比較から施工後はエコー部分が著しく減少し、滑らかな曲線になっていることがわかる。
一方、聴感上でもエコーはほとんど消減し、ステージ上からの音声が明瞭に聞き取れるようになった。

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